株式会社AWARDの渡邉です。
円安がぐんぐんと進み、現在は1ドル=150円目前となってきています。こうした円安の現状などを見て、世界における日本の地位低下を嘆く声もメディアで目にするようになりました。
実際のところ、30年前と比較すると日本はGDPの割合でも、株式の時価総額の割合でも世界の中で地位がガクッと低下しています。
とはいえ、30年前はバブルの直後でもあり、逆に経済や株価が不自然に大きくなっていたというのもあると思います。今回は株式の時価総額ベースで、10年前と比較してどのくらい日本と米国の割合が変化しているかをチェックしてみたいと思います。
1.2012年9月と2022年9月の比較
2.日本株の成長率は?
3.米国の成長率は?
といった流れでご紹介させていただきます。
1.2012年9月と2022年9月の比較
今回の比較はマイインデックスという様々な株価指標について綺麗にまとめてくださっているWEBサイトを参考にさせていただいています。
まず世界の株式の規模から見てみます。浮動株調整後(創業者が保有している株など、一般投資家が売買できない株は含めない)の株式時価総額 (米ドルベース)で比較すると、
《世界全体》
2012年9月:30.1兆ドル
2022年9月:52.2兆ドル
となっています。株式市場の規模は、約73%ほど大きくなっていることになりますね。
2.日本株の成長率は?
そんな中で日本の株式市場の規模の変化を見ると、
《日本》
2012年9月:2.1兆ドル
2022年9月:3.2兆ドル
10年間で約+52%となっています。世界の成長率が+73%ですので、その成長率には劣りますが、これだけの円安の中でもドル基準での成長を果たしていることがわかります。
日本のことを悲観的に見る方もいますが、ここ10年の株式市場に限って言えば、健闘してきたとも言えるのではないでしょうか。
世界における時価総額に占める割合は、
2012年9月:6.9%
2022年9月:6.2%
と若干低下しています。
3.米国の成長率は?
一方で世界トップの経済大国である米国のここ10年間での変化はどうでしょうか。
《米国》
2012年9月:13.8兆ドル
2022年9月:31.5兆ドル
10年間で約+128%となっています。
米国は流石の伸びですね。この10年間でも世界の経済を引っ張ってきたのは米国でした。2022年9月現在、米国の時価総額は日本の約10倍となっています。
世界における時価総額に占める米国の割合は、
2012年9月:46.0%
2022年9月:61.1%
にまで拡大しています。
株式市場という経済の舞台でいうと、米国の割合はたった1国で世界全体の60%を超えている、ということですね。
中国も経済規模は大きいのですが、株式市場という観点で見るとまだまだ小さく、世界全体の3.6%でしか占めていません。
今回比較に使っているのが浮動株調整後(創業者が保有している株など、一般投資家が売買できない株は含めない)の株式時価総額 (米ドルベース)ですので、国が株式を持っている企業などは小さく評価されるのもありますが、株式投資をする上ではこうした実態は知っておくと良いでしょう。
こうした全体像を知ることができると、米国の金融政策で世界が大きく揺さぶられる理由も見えますよね。圧倒的な経済力や株式市場における規模を誇っているのが米国ということです。
今回はここ10年ほどの株式市場の変化をざっくりと解説させていただきました。参考にしてみてください。