株式会社AWARDの渡邉です。
最近、仕組債で損をした、という話を良く聞くようになりました。仕組み債は銀行や証券会社などで販売されている債券で高い利率が謳われる商品です。
しかし、実態としてはかなり問題がある商品でもあります。今回は仕組債について、
1.仕組債とは
2.仕組債の問題点
3.金融庁と金融機関の動き
といった流れでご紹介させていただきます。
1.仕組債とは
仕組債とは、オプションやスワップなどのデリバティブを組み込むことで、通常の債券よりも高い利率を謳うことができる債券になります。
元々は機関投資家というプロの投資家(金融機関など)に向けた商品でしたが、近年では個人投資家にも銀行や証券会社で販売されるようになってきました。
仕組債と一口にいっても、『仕組み』にあたる部分は多種多様で、様々な条件のもとで金利や償還に関する条項が定められています。要は非常に複雑な商品である、ということです。
2.仕組債の問題点
仕組債は、発行側にとってとても有利な商品です。上記で書いた通り、非常に複雑な仕組みで作られているため、個人投資家側でははっきりとコストが把握できません。
そのため、発行体側にとってはコストを隠した上で顧客に販売ができ、大きな収益を得ることが可能とな商品になっています。金融庁の調査によると、購入者は見えない形で年率10%程度のコストを負担しているといった結果もでています。
投資家にとってのメリットは高い利子が得られることです。しかし、デメリットとして、
・期待リターンが大きなマイナスになる
・市場で自由に売買できないため流動性が非常に低い
・債券という名前がついており安全なものと誤認しやすい
といった点が挙げられます。
これだけでデメリットがある商品なのですが、銀行や証券会社側にとって利益がとても大きいので、力を入れて販売していることがあります。金融商品仲介業(IFA)と言われる証券会社を仲介する方も、仕組債を中心に販売しているといった声も良く聞いてきました。
3.金融庁と金融機関の動き
こうした状況の中、金融庁は2022年8月31日に発表した2022事務年度(22年7月~23年6月)の金融行政方針の中で、仕組債を名指しして金融機関に対して状況の改善を迫っています。
複雑な商品性のため「顧客によっては理解が困難な上、実際にはリスクやコストに見合う利益が得られない場合がある」として、取り扱いを継続する場合は顧客への適切な説明やニーズに応じた販売を行うための議論・検討状況を確認するとしています。
こうして金融庁から名指しされたからには、金融機関も対応せざるを得ません。三井住友銀行や千葉銀行は販売を全面的に停止しました。また、みずほフィナンシャルグループ、横浜銀行、広島銀行なども販売を一部停止する方針とのことです。
仕組債という商品自体がわるいというより、販売者側が十分な説明や案内が顧客側にできているか、そして、それを理解して顧客側が投資をできているか、という点が大きな問題なのだと思います。
仕組債に限らず、金融機関にて販売されている商品で複雑なものというのは、顧客側からすれば不利なものが多いです。知識を身につけて、正しい判断ができるように意識していきましょう。