株式会社AWARDの渡邉です。
円安のスピードが止まりません。昨日2022年9月7日には1ドル=145円目前の1ドル=144.98円というレートを記録しました。これは1998年以降24年ぶりの円安水準でした。
今回のコラムでは、
1.次のドル円の為替の目安
2.日本銀行の見解
3.今後の可能性と警戒したいこと
について書かせていただきます。
1.次のドル円の為替の目安
過去に遡ってみると、その時々で意識されるレートというのがあります。現在24年ぶりの円安なわけですが、1998年のドル円の為替で最も円安に振れたタイミングでは、
1998年8月:1ドル=147.63円
という数字を記録しています。次に意識されるのは、この辺りの価格帯でしょう。
そのときよりも円安だった時代というと、さらにバブル期までさかのぼり、
1990年4月:1ドル=159.91円
といった値を記録しています。
147円前後の壁を越えていくと、その後は160円近くまで意識されるポイントがなくなるイメージでしょうか。1ドル=150円というのは心理的な節目がありますので、そこで反発する可能性もあります。
2.日本銀行の見解
こうした円安に対して日本銀行はどのような見解を持っているのでしょうか。今の円安は日米の金利差や、日本の貿易赤字その他による日本円の地位の低下が大きな要因になっていると考えられます。そのため、金融政策の転換により円安を食い止めるという姿勢を示すことは日銀としては可能なことになります。
ただし、2022年7月時点で日銀の黒田総裁は、
・金利を上げたときのインパクトはかなり大きく金利を引き上げるつもりは全くない
・金利だけで円安を止めようとすれば大幅な金利引き上げになって経済に大きなダメージとなる
と述べているため、金融緩和策の修正が近く行われる可能性は低そうです。実際のところ今日本が利上げをすると、住宅ローンの金利が上がり住宅市場が冷え込むなど経済には大きな悪影響があると考えられます。
3.今後の可能性と警戒したいこと
今後は引き続き円安が進む可能性とともに、急激な円安の反動による円高も考えておくと良いのではないでしょうか。
先ほど出した
1998年8月:1ドル=147.63円
1990年4月:1ドル=159.91円
という為替レート、その1年後にはどのように動いたかというと、
1999年8月:1ドル=109.00円
1991年4月:1ドル=134.50円
と大きく円高に振れています。
特に1998年から1999年にかけての揺り戻しは大きかったわけですが、このときはアジア通貨危機や銀行の破綻、世界的な有名なヘッジファンドの破綻など様々な要因が重なり急激な円高が生じました。
現在もそうした混乱の種は見えないところに存在しているかもしれませんから、急激な変化には対応できるようにしておきましょう。