株式会社AWARDの渡邉です。
金融庁が8月31日に、2022事務年度(22年7月~23年6月)の金融行政方針を発表しました。
・NISAの恒久化
・投資家の育成
・金融機関の環境整備
の3本の柱が打ち出された今回の発表でしたが、NISAの恒久化は近い将来わたしたちにとって大きな恩恵があるかもしれない内容です。今回はNISAの恒久化について金融庁が出した要望について見ていきましょう。
現在のNISA制度
現在のNISA制度は、
・一般NISA
・つみたてNISA
・ジュニアNISA
の3つに分かれています。
一般NISAは2028年までの間、年間120万円の投資を上限に最長5年間、非課税措置を受けられます。なお、2024年から制度が複雑化することが決まっていました。
つみたてNISAは、金融庁が選定した投資信託商品に2042年まで投資でき、年間40万円を上限に最長20年間、非課税になります。
ジュニアNISAは未成年向けのNISAで、2024年に廃止が決まっていますが、年間80万円まで投資ができ、年間80万円を上限に非課税で運用ができます。
こうしたNISA制度全般について、金融庁は制度の恒久化や非課税期間の無期限化を求めることにしたとのことです。
NISAの拡充案は?
今回、金融庁が出した拡充案はかなり大胆なものでした。これが実現したら、個人の投資家にとってはかなり将来の資産作りが有利になります。
①NISA制度を恒久化し、非課税期間も無期限にする
②成長投資枠を設けて、年間の投資枠を拡大する
③つみたてNISAを未成年も開設できるようにする
こうした案が金融庁から出てきています。
一般NISAとつみたてNISAの併用ができるようになる、という話もでており、これから調整が進んでいくものと考えられます。
金融庁の要望が通れば、元々NISAが参考にしている英国の少額投資非課税制度であるISAに近い水準にまで個人の非課税枠は広がることになります。
課題は行政内での調整
さて、こうした要望がでたことで、NISA制度が使いやすくなることを期待したくなります。しかし、このような要望は過去の例ではそのまま通ることは中々ありませんでした。
その原因は金融庁と主税局との交渉にあります。貯蓄から投資への流れを加速したい金融庁と、税金が取れなくなる非課税枠の拡大に積極的ではない税務当局との間で落としどころづくりが行われる、ということですね。
過去にはつみたてNISAが年間60万円の枠として要望がでたにも関わらず、年間40万円の枠になったといったものも、調整の結果によるものでした。今回の要望が実現したら、かなり個人の投資環境にプラスになりますので、金融庁の頑張りに期待したいところです。
また、こうした要望がでるということは、今後ますます将来のための資産作りを個人でやらなければいけないという行政からのメッセージであると受け取ることもできます。個人の非課税枠が広がるということは、大きい額を投資している投資家への課税は引き上げられる可能性もあるでしょう。
現状の制度、これからできる制度も活用して、できる限りの対策を個々人でとっていきましょう。