株式会社AWARDの渡邉です。
2022年6月の第3週目は、世界と日本で金融政策の違いがはっきりと示された週となりました。株式相場も大きく揺れていますが、なにがあったのがまとめておきましょう。
米国、2022年6月14-15日のFOMCにて0.75%の利上げを決定
連邦準備制度理事会(FRB)は、6月14日、15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催しました。
FRBは米国の中央銀行としての役割を果たす機関であり、FOMCは日本でいうところの日銀の金融政策決定会合となります。
フェデラルファンド(FF)金利、つまり政策金利の誘導目標について、0.75%~1.00%から1.50%~1.75%へ引き上げることを決定しました。
今回の利上げ幅は+0.75%となったわけですが、この利上げ幅は1994年11月以来、27年7カ月ぶりの大きさでした。
進行を続けるインフレを抑え込むために、米国の利上げを急ピッチで進める姿勢が示されたと言えます。
スイス中銀、2022年6月16日に15年ぶり利上げを決定
また、スイス国立銀行(中央銀行)は2022年6月16日に政策金利を0.5%引き上げ、-0.25%としました。インフレに対処するために2007年9月以来15年ぶりの利上げに踏み切ったとのことです。
スイスの利上げはかなりのサプライズであり、ほとんどのエコノミストが政策金利の据え置きを予想していたため、市場では動揺が走りました。
この決定を受けてスイスの通貨であるスイスフラン高が進行しています。6月15日夕方時点で1スイスフラン=約134円でしたが、6月17日夕方時点では1スイスフラン=約139円と、スイスフランがとても強くなっています。
日銀、2022年6月16-17日の金融政策決定会合にて金融政策の維持を決定
スイス中銀の15年ぶりの利上げを受けて、翌日に控えていた日銀の金融政策決定会合でも、なにかサプライズがあるのではないか、といった考えが市場に生まれました。スイスの利上げが発表された直後には、1ドル=131円台まで円高が進んだのです。
しかし、そのような思惑をはねのけるかのように、日銀は6月16-17日にかけて開かれた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持することを決定しました。
日本は、現在の短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロ%程度に抑えるように国債を買い入れる大規模な金融緩和策を継続することになります。
一方で、決定内容の公表文には、リスク要因として「金融・為替市場の動向やわが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある」と明記されました。一応、世界の状況、為替の状況を気にしているところをアピールしているような形です。
こうした金融政策の維持の決定を受けて、現在は1ドル=135円前後の状況になっています。
まとめ
今週は米国が0.75%と27年7か月ぶりの幅での利上げを決定、スイス国立銀行が15年ぶりの利上げを決定、日銀は現在の大規模な金融緩和を維持、ということで各国の金融政策の対比がはっきりとわかる1週間でした。
日本以外の国が利上げに向かう中で、日本だけが大規模な金融緩和を続けるということになれば、当然円安は進み続けますね。
現在は1ドル=135円前後ですが、市場ではさらに円安が進むことが意識がされ始めているように感じます。株式市場も乱高下していますが、為替の動きに特に注目していくと良いでしょう。少しずつでも外貨の割合は手元で増やしていった方が良さそうです。