株式の価格変動の考え方

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

年初からの株価の下落を見て、投資しているのが辛いな、なんて感じてらっしゃる方が出てきている頃かもしれません。SNSでも、株価の下落に対して一喜一憂する声をしばしば拝見します。

ここ数年の間、絶好調だったS&P500は年初来で-15%を超え、NASDAQ100などは年初来で-30%に迫る勢いとなっています。円安も進んでいるため、これらの米株に投資をしている方の資産はそれほどマイナスにはなっていないでしょうが、それでも心配に感じている方は多いことでしょう。

リターンとリスク


株式の投資をする上で多くの方が目を向けるのが、リターンです。しかし、実はリターンとともにリスク(価格の振れ幅)についても考えておく方が、冷静な目で投資を判断することができます。

例えばS&P500とNASDAQ100の過去30年間の平均リターンとリスクは、

【S&P500(米ドルベース、配当込み)】

リターン:10.1%
リスク:14.6%

【NASDAQ100(米ドルベース、配当なし)】

リターン:10.6%
リスク:25.3%

となってます。数字は、

マイインデックス

で2022年4月末時点のものから引用しています。米国の株式に投資をしている方は多くても、こうしたリターンとリスクの関係を知って投資をしている方は以外と少ないのではないでしょうか。

95%の確率で収まる範囲は?


さて、このリターンとリスクを使うと1年間のリターンが95%の確率で収まる範囲を計算することができます。平均リターンからリスクの2倍を足したところ、平均リターンからリスクの2倍を引いたところを、その範囲としてみなすことができるのです。先ほどの数字を使って計算すると、

【S&P500(米ドルベース、配当込み)】

10.1%-14.6%×2~10.1%+14.6%×2
-19.1%~39.3%

【NASDAQ100(米ドルベース、配当なし)】

10.6%–25.3%×2~10.6%+25.3%×2
-40.0%~60.7%

といった範囲に95%の確率で1年間のリターンが収まる、と算出することができます。20年間あったとしたら19年間はこの範囲に収まる、ということですね。

とはいっても、その範囲の広さに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。長期での株式投資というのは、こうした価格変動のリスクを負いながら、平均的なリターンを積み重ねていくものなのです。

現在の年初来のリターンは?


さて、現在の年初来のS&P500とNASDAQ100のリターンを見てみると、

【S&P500(米ドルベース)】

-17.15%(2022年5月23日時点)

【NASDAQ100(米ドルベース)】

-27.07%(2022年5月23日時点)

となっています。米株が8週連続で下落するのは100年ぶり、などといったニュースが出ていますが、下落幅でみると、95%の確率で収まる範囲にすっぽりと入っていることがわかります。

ここ数年間の米国株が良すぎたので、企業の利益などから考えれば今が適正水準くらいに落ち着いてきた、くらいな感じではないでしょうか。逆に言えば、株価が下がったら投資を始めたいな、なんて思っていた方はそろそろ動き出さないと、いつまでも投資は始められない、ということにもなりそうです。

メディアに踊らされることなく、冷静に数字を見て判断してくと狼狽売りでの損失確定などをしなくて済むのではないかと思います。投資を長期で考えている方は、こんなときもある、とどっしり構えて投資を継続してみてください。


執筆者:渡邉亮

こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。

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