日銀緩和継続 ドル円130円台突入

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

4月27、28日と日銀の金融政策決定会合が行われ、現在の大規模な金融緩和策を維持することが決定されました。

一連の決定を受けて、市場は日銀に円安を止める意思がないと見なしたようです。ドル円の為替レートは急速に円安方向に進み、130円台の心理的節目を突破しました。

その後も円安は進み、一時は131円台をつけ、2022年4月29日7時時点では1ドル=130.8円になっています。

日銀の姿勢に変化はなし


現在日銀では、短期金利をマイナスにして、長期金利を0%程度に抑えるよう国債を買い入れる大規模な金融緩和策を行っています。ここ最近の急速な円安の進行を受け、この姿勢に変化があるかが注目された上で迎えた今回の金融政策決定会合でした。

結果として現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策の維持を賛成多数で決定し、これまでの政策を維持することが発表されました。

また、ここ最近行っている連続指し値オペの運用を明確化し、10年国債の利回りは0.25%を超えないように維持することも改めて示されました。こうした一連の発表は、日銀が円安に対して何も手を打たないことを示したと市場に受け取られ、円売りが進み、1ドル=130円という心理的な節目を突破することに繋がりました。

ドル円はどこを目指す?


今回の円安は20年ぶりの円安です。1ドルが130円台になるのは、2002年4月以来です。ちなみに次の節目は2002年1月につけた1ドル=135.160円です。今のペースでドル高円安が続くようであれば、この辺りは近いうちに到達するかもしれませんね。

ちなみに、今回の円安のスピード感には市場に長年携わってきた方々でも驚いている印象です。今年の3月は1ドル114円台から始まりましたから、そこからたった2か月で16円ものドル高円安が進んだことになります。

ちなみに135.160円といったラインを超えたら、1998年8月につけた1ドル=147.670円というのが次の目標になるかと思われます。ちなみにこの月は、ロシア通貨危機でロシア中央銀行が対外債務の支払いを 90日間停止すると発表した月です。現在のロシアによるウクライナ侵攻と奇しくも重なるところがあります。

インフレはどうなる?


現在の日銀の緩和姿勢の理由には、当初からのターゲットである安定的な物価上昇2%を日本はまだ達成していないから、というのがあります。

2022年4月時点での日銀によるインフレの見通しは、

2021年度 +0.1%

2022年度 +1.9%

2023年度 +1.1%

2024年度 +1.1%

となっています。+2%のインフレ率を持続できる状態にはない、と日銀は判断しているわけです。ただし、1ドル=125円超の円安水準が定着した場合、消費者物価指数(CPI)は夏頃に2%台まで上昇し、140円近くまで円安が進めば22年中に2.5%に接近するといった金融機関による試算もあります。

インフレ率が2%台に乗ってきた際の日銀の対応次第で、現在の流れは急変することも考えられますので、どういった状況にも対応できるように準備は進めておきましょう。


執筆者:渡邉亮

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