株式会社AWARDの渡邉です。
日本時間1月12日22:30に米国の12月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。物価の上昇=インフレは、現在米国の政府・金融当局が注視しているところになります。
結果についてチェックしておきましょう。
前年同月比+7.0%
米国の2021年12月の前年同月比の消費者物価指数は、+7.0%と約40年ぶりの数値となりました。こちらのサイトなどで過去の推移が確認できます。
https://m.finance.yahoo.co.jp/fx/economicIndicatorDetail?id=9052
2021年の1月からの前年同月比の物価上昇を見ると、
1月 +1.4%
2月 +1.7%
3月 +2.6%
4月 +4.2%
5月 +5.0%
6月 +5.4%
7月 +5.4%
8月 +5.3%
9月 +5.4%
10月 +6.2%
11月 +6.8%
12月 +7.0%
となっています。米国でのインフレ率のターゲットは前年比で+2%であることを考えると、昨年は3月頃からターゲットを超えており、2020年の後半には大幅に超過した状態が続いていることになります。
物価の上昇は不満にもつながる
このインフレによって、米国では賃金の上昇圧力もかかっています。好待遇の求人を待つ求職者が増えており、企業にとっては人材を確保するためのコストが増えているのです。人件費の増大はさらに商品価格に上乗せされてインフレが続く、という構造になっています。このインフレはけっこう長引きそうです。
皆さんは身の回りの価格がどんどん上がっていったらどのような印象を抱くでしょうか。給料や貯金の額は急には増えませんから、生活が苦しくなったと感じたり、買い物がしにくくなって不満を抱いたりするのではないでしょうか。
現在のインフレの状況は、大統領に対する支持率の低迷にも繋がっています。今月でバイデン大統領は就任1年となりますが、当初に比べると支持率が急落しています。多くの米国民がインフレはバイデン政権に責任があると考えているようです。大統領の任期は4年間ですから、現在の状況が続くようですと4年間での政権交代ということもあり得るかもしれませんね。
金融政策の変化に注目
こうした状況を受けて、米国では金融政策を急転換させています。
テーパリング(資産購入の縮小)⇒利上げ⇒保有資産の売却
といったように金融政策の正常化は行われることになりますが、テーパリングは3月にも終了となり、利上げが始まる可能性が高まっています。さらにFRBが保有資産の売却を始めれば市場の景色は一変していくでしょう。
昨日の消費者物価指数の値は40年ぶりの値ではありましたが、事前の予想と一致する内容ではありました。
ドル安、株高が進み、市場は安心したことが確認できましたが、FOMCで金融政策がどのように変化していくかはチェックしておくのが良いでしょう。
2022年のFOMCは、
1月25~26日
3月15~16日
5月3~4日
6月14~15日
7月26~27日
9月20~21日
11月1~2日
12月13~14日
に行われる予定です。今月末、3月のFOMCあたりで出てくる声明や議事要旨で、具体的な金融引き締めの前倒しが分かってくる可能性が高いので、確認してみましょう。こちらのコラムでも、その際にはまとめさせていただきます。