掉尾の一振

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

市場にはアノマリーと言われる経験的に観測できるマーケットの規則性があるとされています。そして、年末に株価などが上昇する

『掉尾(とうび)の一振』

も、その一つだと言えるでしょう。

本日はこちらの掉尾の一振について簡単にご紹介したいと思います。

掉尾の一振とは?


統計的に12月は株価の上がりやすい月ともいわれています。そして掉尾の一振とは年末最後の売買日となる「大納会」に向けて株価が上昇する様子を示す言葉です。捕まった魚が尾を盛んに振る様子が由来とのことです。

12月になると、節税対策による株売りという言葉が取り上げられます。これは含み損の出ている銘柄を売却し、1年間の利益と相殺することで節税を図る行為のことです。そのため12月には1年を通して成績の悪かった株式が叩き売られる傾向が見られます。

こうした節税対策の売りは大納会の2営業日前まで続くのですが、この節税対策の売りが終わった後は需給が好転するため掉尾の一振が期待されます。

なぜ2営業日前まで?


さて、株式市場では2営業日前まで節税対策が行われるのでしょうか。これは、株式が売買される日と実際に株式の受渡が行われる日が異なるためです。

例えば、今年の日本の株式市場の年内最終営業日は12月30日(木)ですが、この日に受渡が完了するためには、12月28日(火)までに売買がされていなければいけません。

約定という売買金額の確定は売買が行われてすぐにされるのですが、受渡いう売買代金を決済する日は別になるのですね。ちなみに投資信託の場合などだと、約定日や受渡日がさらに時間がかかる場合が多いです。

NISAの枠と受渡日


ちなみにつみたてNISAやNISAなどの今年の枠を使いたい場合も、受渡までが年内に完了していることが必要です。投資信託ですと、かなり早く期限がくるので、すでに間に合わないものも多いですが、NISAで株式を買う場合などですと非課税枠の利用はまだ間に合います。

もし、まだ使い残している枠がある、という方は12月28日までに株式を買うなどして枠を使い切ってみてはいかがでしょうか。

ちなみに掉尾の一振に関して言えば、仮想通貨、暗号資産なども節税対策の売りが終われば年末年始にかけて価格が上昇する傾向があります。こちらは売買とともに決済が行われるので、もう掉尾の一振は始まっているかもしれないですね。ぜひ市場を観察してみてください。


執筆者:渡邉亮

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