株式会社AWARDの渡邉です。
11月2,3日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)にて、米連邦準備理事会(FRB)が米国債などの資産を購入する量的緩和縮小(テーパリング)を11月から始めることが決定されました。
テーパリングのスピード感や、利上げの開始時期についてチェックしておきましょう。
ついに始まるテーパリング
ここ半年ほどの間、市場関係者が警戒し続けていたテーパリングが、ついに今月11月から始まることが決まりました。テーパリングとは量的緩和の縮小のことを指しますが、量的緩和が開始されたのは2020年3月のことでした。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、混乱する経済状況を守るためにFRBが資産購入を始めたのです。
現在は米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル購入しています。これを11月から購入月額を米国債100億ドル、MBS50億ドルの計150億ドルずつ減らしていく計画を正式に決定しています。
このペースが守られることになれば、2022年6月には量的緩和は終了することになります。
利上げの時期は?
さて、それでは量的緩和とともに市場を大きく左右していた金利についてはどうでしょうか?FRBのパウエル議長は、
・テーパリングの開始は金利政策と直接はひも付かない
・利上げ前にはより厳しい条件を満たす必要がある
・最大雇用を達成するまで課題があり、まだ利上げする時期ではない
といったことをFOMC後の記者会見で述べました。テーパリングが終了するまでは、利上げは行われないとみて良いでしょう。
利上げ開始の時期ですが、順調にいけば2022年後半、というのが濃厚そうです。雇用状況の改善の余地はまだまだある状態ですが、パウエル議長は来年後半に最大雇用の達成が可能ではという見解を示しています。
株価への影響は?
さて、今回のテーパリング開始を決定されてから、株価はどのように動いたと思いますか?
ダウ工業株30種 4営業日連続
S&P500 5営業日連続
NASDAQ総合指数 5営業日連続
といった米国の株価指数は連日で最高値を更新することになりました。
通常テーパリングや利上げといった金融を引き締める方向の政策は、株価を下落させる圧力を市場にもたらします。しかし、今回のテーパリングについては、前々からFOMCやパウエル議長の講演などで市場に対して繰り返し発信が行われていました。
そのため市場に動揺が走ることなく、テーパリングを開始できたということでしょう。ただ、株価が高値を更新しているのは、企業の決算発表自体のできが非常に良い、というのも理由となります。
テーパリングといっても資産の購入額が減るだけで、積みあがったFRBの資産額が減らされるわけではありません。なお、市場はいまだ緩和的ですので、株高は続くかもしれませんね。