株式会社AWARDの渡邉です。
今年もノーベル賞の季節がやってきました。ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏が選ばれたことは、日本のニュースでも大きく扱われましたね。
さて、学術の世界で非常に権威があるノーベル賞ですが、その歴史は1901年にまでさかのぼります。100年以上に渡り続くノーベル賞ですが、その運営は実は資産運用の力によって支えられているのです。
本日はノーベル財団の資産運用について、
THE NOBEL FOUNDATION ANNUAL REPORT 2020
の内容等からご紹介させていただきます。
賞金や運営費は運用益から出ている
今年のノーベル賞では、各賞に対して1,000万スウェーデン・クローナ(SEK、日本円にしてして約1億2,700万円)の賞金が贈られます。賞金の額は時代により変わっており、2001年から2011年までは、一つの賞につき1,000万SEK、2012年から2016年までは800万SEK、そして2020年から再び1,000万SEKとなっています。
一般的にノーベル賞とは、
ノーベル物理学賞
ノーベル化学賞
ノーベル生理学・医学賞
ノーベル文学賞
ノーベル平和賞
に、
ノーベル経済学賞
を加えた6部門から構成されていますが、ノーベル経済学賞についてはノーベル財団が認めているものではないため、ノーベル財団からは前者の5つの賞に対して賞金が支払われていることになります。
過去の運用益は?
ノーベル財団が100年以上、寄付などを受け付けずにノーベル賞の賞金を払い続けることができているのは、ノーベル財団がその資産を運用し、運用益から賞金を支払っているからです。
2020年末時点でのノーベル財団の運用している資産は、51億7600万SEK(約657億円)でした。そして、毎年の運用による資産の変化を見てみると、
2008年…-19.0%
2009年…+14.4%
2010年…+5.5%
2011年…-2.6%
2012年…+7.8%
2013年…+15.3%
2014年…+15.8%
2015年…+7.7%
2016年…+6.0%
2017年…+8.6%
2018年…-1.4%
2019年…+16.0%
2020年…+7.9%
となっています。
平均の資産の増加額はリーマンショックがあった2008年を加えても年間6.3%程度となっており、なかなか良い成績を出していると言えそうです。600億円の資産を+6%で運用できれば年間の収益は36億円になりますから、賞金を毎年5億円以上支払ったとしてもノーベル賞は長く安定して続けていくことができそうですよね。
運用の中身は?
2020年末で見てみると、ノーベル財団の資産構成は下記のようになっています。
株式:48%
不動産:5%
債券:15%
ヘッジファンド:28%
その他:4%
といった割合となります。株式の割合が高く半分近くになっているのは驚く方もいらっしゃるかもしれません。そして、相場の影響を受けにくいヘッジファンドの割合が28%と2番目に高いのも特徴的です。ノーベル賞を運営し続けるために、ノーベル財団はしっかりとリスクを取ってリターンを得る運用をしているということですね。
ある程度大きな資産がある方は、ヘッジファンドの組み入れ方など参考になる部分は大きいのではと思います。100年以上続くノーベル財団の資産運用方法から学び、ぜひ個人でも長く資産運用を続けていけるようにしていきましょう。