株式会社AWARDの渡邉です。
中国にある不動産大手が破綻の危機に陥っています。超巨大な企業なため、その破綻が及ぼす影響はかなり大きくなる可能性があります。
本日は現在わかっている状況と、今後起こりうることについてまとめてみましょう。
中国恒大集団
現在破綻の危機に陥っているのは、中国の不動産開発大手である中国恒大集団です。巨額の債務返済が滞ってきており、経営不安から株価は低迷し、投資家が本社に押し掛けるなどの事態に発展しています。
香港市場に上場している中国恒大集団ですが、過去5年ほどの株価を見ると、2016年9月に5HKD(香港ドル)台だった株価は2017年10月までの1年ほどで30HKD台まで上昇していたのですが、そこからずるずると株価は下がり続け、2021年9月現在では2HKD台になっています。1年で6倍になり、4年かけて15分の1に下がってきているということですね。
2020年の売上高は5070億元(約8兆6000億円)で、20万人の従業員を抱える超巨大企業ですが、負債総額は今年の6月末時点で1兆9670億元(約33兆4000億円)と言われています。この負債の返済が滞ることになれば、超巨大な中国恒大集団と言えども破綻するということになるでしょう。
中国の不動産事情
中国では基本的には土地を所有することができません。土地は公有のものであるとされているからです。そのため、不動産を持つ場合には、最長70年の定期借地のような権利形態で売買されています。
しかし、そんな建物を使えるということにしか価値がない不動産にも関わらず、都市部の一等地のマンションの利回りは1%未満になっているケースもあるとのことです。つまり、中国の不動産市況自体がかなりのバブル状態にあるということです。
中国当局はこうした状態を良しとは考えておらず、不動産会社への融資規制などを始めました。今回の中国恒大集団は規制により借入が難しくなり、資金繰りが悪化したことで現在の状況に追い込まれています。
中国で不動産バブルが弾けると?
さて、中国恒大集団が破綻するとなれば、当然多くの方の頭に浮かぶのは同様のビジネスモデルを持っている会社は他にも危機に陥るところがあるのではないか、ということです。そして、それが現実のものになった場合、中国の不動産バブルは崩壊することになるでしょう。
さて、バブル崩壊というと、日本がまさに1990年代に経験したことでもあります。日本のバブル崩壊時には東京23区の土地価格がピークから最安値までで3~6分の1ほどに下落しました。
今回の中国発の不動産バブル崩壊はまだ世界中に与える影響に関しては不透明なところがあります。実際のところ日本のバブル崩壊では、米国の経済などはさほど影響を受けることはありませんでしたし、現在も中国恒大集団のニュースで世界の株式が大幅に下落したりはしていません。
ただし、中国恒大集団の破綻に関しては、連鎖的な反応について世界中の投資家が注目しているところでもあります。株価への影響、日本の不動産価格への影響なども考えられるため、今後の動向の推移には注意していきましょう。