株式会社AWARDの渡邉です。
世界で最大の年金基金と言われるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)。そんなGPIFの累計の利益金額が、
100兆円
を突破したことが2021年8月6日に発表されました。100兆円という金額は想像もつきませんが、どのようにしてこの利益を積み上げてきたのが、運用の中身について見てみましょう。
過去は債券で運用、今は半分が株式
GPIFはわたしたちの年金の原資となるお金を管理運用してくれています。年金を受け取るまでには時間がありますから、GPIFではその集まっているお金を株式や債券で運用しているのです。GPIFができたのは2001年と比較的新しいのですが、そこからコツコツと利益を積み上げてきました。
過去には日本国債をメインで使って運用をしていたのですが、近年では株式で運用する割合を増やしています。現在の基本ポートフォリオは、
国内債券:25%±7%
外国債券:25%+6%
国内株式:25%±8%
外国株式;25%±7%
となっています。ちなみに後ろについている±の部分は乖離許容幅とされ、最大でそこまではブレても許容されるということですね。債券と株式の割合についてもそれぞれ±11%まで乖離が許容されているので、最大で株式の割合としては50%+11%で61%まで保有できることになっています。
100兆円の利益の内訳
さて、2001年以来の歴史の中で100兆円を利益として生み出してきたGPIFですが、その利益の内訳は以下のようになっています。
キャピタルゲイン:59兆1030億円
インカムゲイン:41兆2152億円
キャピタルゲインというのは、株式や債券の値上がりから得られた利益、そしてインカムゲインというのは、株式や利子の配当や利子から得られた利益です。
こうしてみると、キャピタルゲインだけでなくてインカムゲインが全体の収益のうち大きな割合を占めているのがわかりますね。
キャピタルゲインはマイナスの年もあるのですが、インカムゲインは運用開始以来毎年必ず利益をもたらしてくれています。個人の運用でも配当や利子を積み上げていく戦略は安定性があるかもしれませんね。
運用には悪いときもあるが
GPIFの過去の運用成績は平均年利で+3.70%。現金だけで持っていたのでは得られないリターンを着実に積みあげてきて、100兆円という大きな利益を出すことに成功しているわけです。
年金基金の運用ということでマイナスになったときにはメディアで叩かれますが、実際には大きな成果を出し続けていることは誰しもが知っておきたいところです。
資産運用というのは、リスクをとってやるものですから、必ず悪いときもあります。しかし、歴史的に見て長く正しく続けることができれば報われる可能性は非常に高いと言えます。一喜一憂せずに利益を積み上げていく姿勢はGPIFからも学べるのではないでしょうか。