労働分配率と投資

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

本日の日経新聞の記事に労働分配率がテーマのものがありました。

崩れる富の分配 消えた500億ドル

労働分配率というのは給料を日々貰っている人からすると、非常に重要な数字となります。本日はこちらのテーマについて深掘りしてみたいと思います。

労働分配率とは


労働分配率とは、企業において生産された付加価値全体のうちの、どれだけが労働者に還元されているかを示す割合となります。付加価値というのは、簡単に言えば企業で生み出された粗利のことになります。

労働分配率=人件費÷付加価値

で計算することができ、企業が生み出した富のうち、どれだけの割合が人件費として従業員に還元されているか、というのがその意味となります。

労働分配率は低下傾向?


この労働分配率がITサービスを主軸に据える企業の場合は低い、というのが日経新聞の記事に載っていた内容です。

例えば1970年台の自動車業界では労働分配率が最大で70%を超えていたのに対して、ITサービスは2019年時点で約33%と全産業平均よりも21%ほど低い労働分配率になっているそうです。

ITサービスは物を消費者のもとに届けなくてはいけない事業に比べると圧倒的に人手が必要ない、つまり労働力が必要ない、というのがこうした労働分配率に影響を及ぼしていると考えられます。

ちなみに日本の労働分配率のデータを調べると、資本金10億円以上の大企業の場合、2000年度の労働分配率が60.8%なのに対して2018年度は51.3%とやはり低下傾向が見られます。

ちなみに付加価値額に占める営業純益の割合は大企業の場合で2000年度が18.6%、2018年度が32.8%と大きく上昇していますから、富が人件費にまわる割合よりも企業に残る割合が多くなっていることが見受けられます。

中小企業庁HPより

投資で付加価値を得る


さて、労働分配率が低下傾向にある、というのは企業で働いている方々にとっては由々しき問題なのではないでしょうか。働いて生み出された価値が自分のところへ戻ってくる割合が減っているということですから、なにも手を打たなければジリ貧になっていくばかりです。

では、労働者に分配されない富をわたしたちが手にするにはどうすれば良いのでしょうか?その答えは、

『投資をすること』

です。労働者に分配されない富は企業の内部留保として蓄積されるか、株主に対して配当として還元されることになります。つまり、労働分配率が下がっている現代で、過去と同じように富を得るためには投資をすることが必須である、ということです。

労働分配率の低下を嘆くのではなく、株主になって正々堂々と富の分配を受ける、というのがこれからの時代では必要なのではないでしょうか。環境に適応して自分の行動は変化させていきましょう。


執筆者:渡邉亮

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