株式会社AWARDの渡邉です。
日本の金融業界を取り締まっている官公庁と言えば、
《金融庁》
となりますが、そんな金融庁が、資産運用会社のモニタリングを通じて把握した資産運用ビジネス全体の課題等ついて「資産運用業高度化プログレスレポート2021」というレポートにまとめています。
こちら44ページに渡る濃密なレポートなのですが、本日は多くの方の資産運用に役立つと考えられる一部の内容について取り上げさせていただきます。
シャープレシオとは?
まずこのレポートを読む上で、知っておきたい前提知識として、運用の良し悪しを測る尺度の一つであるシャープレシオについてご紹介したいと思います。
シャープレシオというのは、リターンをリスクで割った数値になります。ここで言うリターンとは年間の超過リターン(リスクゼロでも得られる国債等のリターンを上回った超過収益)であり、リスクというのは標準偏差(平均値からの変動具合)です。
わたしたちは投資をするときにリターンだけに注目しがちですが、リスクとともに運用を評価するという尺度がシャープレシオです。シャープレシオの数字は大きければ大きいほど、リスクを抑えてリターンを得ることができている優れた運用ということになります。
アクティブファンドとインデックスファンド
レポートの中でまとめられている事項の一つに、アクティブファンドとインデックスファンドのシャープレシオの差があります。
2019年末と2020年末での日本にある公募投信(銀行や証券会社で広く一般に販売されている投資信託のことです)の5年間のデータを元にしたシャープレシオの平均が計算されているのですが、
《アクティブファンド》
2019年末:0.20
2020年末:0.27
《インデックスファンド》
2019年末:0.40
2020年末:0.41
と、2019年末までの5年間でも、2020年末までの5年間でも、平均的にインデックスファンドの方がリスクに対するリターンが優れていたということになります。
これではわざわざプロのファンドマネージャーに高いコストを払ってアクティブファンドを購入する価値は低いと感じざるを得ませんよね。
独立系資産運用会社の頑張り
そんな中で特定の大手金融グループに属さない独立系等資産運用会社はかなり頑張っている様子が見られます。独立系として有名なところとしては、ひふみ投信のレオスキャピタルワークス、鎌倉投信、コモンズ投信などが挙げられるでしょう。
5社について名前を伏せて取り上げられていたのですが、
2019年末には、
アクティブファンドの平均のシャープレシオを上回ったのが、5社中5社
インデックスファンドの平均のシャープレシオを上回ったのが、5社中3社
2020年末には、
アクティブファンドの平均のシャープレシオを上回ったのが、5社中5社
インデックスファンドの平均のシャープレシオを上回ったのが、5社中5社
とすぐれた成績を残していました。母数は少ないですが、独立系等資産運用会社の中には、インデックスファンドの平均を上回る安定したパフォーマンスを実現している社が存在しているということですね。
まとめ
こうした結果を見ると、アクティブファンドにインデックスファンドが平均として勝っているのは間違いない事実、ということと、インデックスファンドに勝っているアクティブファンドも独立系の資産運用会社を含め存在する、ということです。
平均的な成績を目指すのであれば、まずインデックスファンドが選択肢に挙がると思いますが、哲学がしっかりしたアクティブファンドに納得して投資ができるのであれば、それもまた良し、というところでしょうか。
他にも色々と重要な事項が含まれたレポートなので、またコラムでも取り上げていきたいと思います。