株式会社AWARDの渡邉です。
2020年度末の個人金融資産の残高が、1946兆円と過去最高になりました。その内訳について見ていきましょう。
コロナ下で積み増された資産
2021年3月末(2020年度末)の個人金融資産の内訳を見てみると、
現金・預金:1056兆円(5.5%増)
株式等:195兆円(32.1%増)
投資信託:84兆円(33.9%増)
等となっています。現預金も株式、投資信託も家計の中で膨らんだことが示されています。全体としては昨年の3月末に比べて135兆円増え、7.1%の上昇となっています。
現金の給付があったことや、コロナ下での生活不安から消費を抑えて貯蓄する方が増えたこと、コロナショック後の株安からの回復などが、それぞれの資産を増やす大きな要因になったのではないでしょうか。
株式の伸び率は?
ちなみに株式の伸び率は32.1%増、投資信託の伸び率は33.9%となっていますが、このあたりは指数と比較するとどうなのでしょうか。
TOPIX(東証株価指数)の2020年3月末の価格と2021年3月末の値を調べてみると、
2020年3月31日:1351.08
2021年3月31日:1954.00
となっていました。単純な倍率で見ると、44.6%増えているんですよね。資産循環統計で30%以上増えていた株式や投資信託ですが、ただそれらを保有し続けただけの状態と比較すると、資産は増えていないことになります。
もちろん保有していた資産がTOPIXのみなわけはないので、単純な比較はできませんが、おそらくこの1年で株式や投資信託を売却してしまった方が多かったのではないでしょうか。元々保有していた株式や投資信託をそのまま持ち続けたら、TOPIXの上昇率と同程度は資産が増えているはずですしね。
つみたてNISAなどで投資信託への資金流入は一定量が確保されているはずですが、貯蓄から投資への流れは中々進んでいないのが、今回の統計からもわかります。
お金が増えるところに資産を置く
日本人はお金が増えるところに資産を置く、という考えが非常に弱いようです。米国や欧州と比較すると個人金融資産に占める株式や投資信託の割合は非常に小さくなっています。
日本銀行が出している資金循環の日米欧比較2020年版によると、個人金融資産に占める株式と投資信託を合わせた割合は、
日本:13.0%
米国:44.8%
欧州:25.9%
になっています。米国や欧州の方がお金が増えるところに資産を振り分ける意識が強いのは明らかでしょう。こうした資産の持ち方の差は、確実に将来の富の総量に差を与えます。
将来豊かになるためには、お金が増えやすい場所に資産を置く、という意識を強く持つのは大切なことかと思います。株式や不動産など、資産が増えやすいところにお金を置く、ということをぜひ考えていきましょう。