株式会社AWARDの渡邉です。
物価の上昇が続くことをインフレ、物価の下落が続くことをデフレと言ったりします。では、こうしたインフレ、デフレは私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
今回はインフレ、デフレに関して知っておきたいことについてご紹介させていただきます。
インフレ、デフレの意味
インフレとはインフレーションを略している言葉です。物価が継続的に上昇する状態で、通貨の価値は下がっていきます。たとえば、ペットボトルのお茶が1本100円だったのが、翌年には105円になるといった状況はインフレ下にあると考えられます。
通常、景気が良くなるとインフレは起こりやすくなります。インフレ時には、モノの値段が上がり、企業の売上が増加し、従業員の給料が増え、モノを買おうとする意欲が生まれる、という循環が生まれます。一般的には緩やかなインフレが起きている状態では景気が良くなりやすいと言えます。
一方でデフレはデフレーションを略している言葉になります。インフレとは逆に物価が継続的に下落する状態をいい、通貨の価値が上がります。ペットボトルのお茶が1本100円だったのが、翌年には95円に値が下がるといった状況です。
物価が安くなると現預金の価値は上がります。そのため、お金持ちの方にとってはデフレというのは悪いものではないでしょう。しかし、多くの方にとってデフレは好ましい状況ではありません。モノの値段が下がり企業の売上が減少すると、従業員の給与がカットされ、雇用も不安定になります。そうなると人々は購買意欲がなくなり、企業の売上がさらに下がります。この状態をデフレスパイラルといいます。
日本では1990年台後半から2010年過ぎまでデフレスパイラルに陥っている期間が長くありました。その間に経済成長は停滞し、世界から見た存在感をかなり失ったという事実があります。経済成長のことを考えると、デフレの状態というのはやはり好ましくないようです。
米国のインフレと金融引き締め
先週はFOMCで米国が金融緩和の方向性を示し始めたというのが大きなトピックとしてありました。この方向性を決めるのに大きな影響を与えたのが米国の物価上昇率です。
前年同月比の消費者物価指数(CPI)という米国のインフレ率を分析するための最重要指標があるのですが、こちらの数字が今年に入ってから、
1月 1.4%
2月 1.7%
3月 2.6%
4月 4.2%
5月 5.0%
と推移してきていました。米国ではインフレ率が2~3%程度というのがコロナ前の通常の状態でした。しかし、4月、5月に4.2%、5.0%といった高い物価の上昇率を示したことにより、米国では景気の過熱を警戒し始めた、ということになります。
コロナ後の金融緩和によって、世界には過去にないほどの資金が供給されることになりました。これが続くと極端なインフレや景気の過熱を巻き起こす可能性があります。状況の変化を踏まえた上でFOMCも景気の過熱を上手に抑え込む方向に舵を切ったと言えるのではないでしょうか。
インフレに強い資産
さて、インフレが起こっているときには、基本的に現預金の価値は落ちていくことになります。それではインフレに強い資産というのはどういったものが挙げられるのでしょうか。例としていくつか挙げてみると、
・株式
・不動産
・金
などが代表的なものになるでしょう。もしかしたら、ビットコインなども入れても良いかもしれません。
株式についてはインフレ時にはモノの値段が上がることで企業の売上が大きくなりやすいので株価が上がりやすくなるというのが大きな理由です。
不動産や金は実物の資産なので、お金の価値が薄まるような局面でも価値を失わないので価格が上昇しやすい資産と言えます。ビットコインも数が限られるという点においては同様に考えても良いでしょう。
現在がインフレ、デフレどちらの状態にあるのかというのは、急に変わることはありませんが、経済の全体像を掴む上では非常に重要なことかと思います。自身の資産を守る上でも役に立つ考え方ですので、定期的にチェックしてみてはいかがでしょうか。