FOMCタカ派寄りの声明

資産運用

株式会社AWARDの渡邉です。

本日未明に米国の金融政策の方向性を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)が行われました。今後の金融政策を占う超重要な会合でしたが、一体どのような内容が発表されたのでしょうか。

今回は日本時間AM3:00に発表されたFOMCの最新の声明についてチェックしてみましょう。

従来のFOMCでは?


FOMCは米国の中央銀行といえるFRB(米連邦準備制度)が行う政策決定の会議となります。すこし名前が複雑ですが連邦制を取っている米国ならではの枠組みであり、関係性としてはFRBが日本銀行、FOMCが日銀金融政策決定会合に置き換えられると言えます。

従来のFOMCからの流れにおいて注目点としては、

・インフレや雇用に関する認識で変化があるか

・2023年までゼロ金利は継続するか?

・テーパリング(資産購入の縮小)の議論が始まるか?

といった点でした。

新型コロナウイルスによる経済の停滞への懸念から、FOMCでは大規模な緩和策を支持し続けていましたが、その期間はまだまだ続くことを前回までのFOMCでは示唆していたわけです。

ゼロ金利の終了やテーパリングの開始は金融の引き締めを行うことに繋がるので、株価や為替が動揺することが考えられました。ちなみに多くの方は今回のFOMCで金利に対してもテーパリングに対しても今までとほぼ変わらない姿勢が維持されると考えていたようです。

今回のFOMCのの内容


今回発表されたFOMCの内容はかなりサプライズだったかと思います。要点としては、

・インフレに関しては一時という姿勢崩さなかった

ものの、

・2023年に利上げすることが前提になってきた(FOMCに参加しているメンバーの多くが利上げを支持)

・テーパリングについても経済前進なら検討することを表明

となっています。

特に参加者による2023年の政策金利の見通しについては、前回のFOMCでゼロ金利が11人、利上げが7人となっていましたが、今回のFOMCではゼロ金利が5人、利上げが13人とゼロ金利派を利上げ派が逆転しました。2022年から2023年にかけて利上げが行われる可能性は大いに高まったと言えるでしょう。

急な緩和の縮小を始めるというメッセ―ジではないと捉えることができますが、今後の政策の修正に向けて一歩前進したFOMCだったと言えるでしょう。

株価への影響は?


FOMCの声明を受けて一時的に株価は下落し、米国債の金利は上昇しました。

しかし、株価は市場が終わるまでには持ち直しています。金利の上昇も米10年国債の金利が1.50%弱から1.60%弱への上昇ということで、落ち着いています。

なお、為替市場には割と大きな影響があり、ドルやユーロなどの通貨に対してドル高が進んでいます。これは利上げが行われることによってドルの価値は高まり、テーパリングが行われると他通貨に対するドルの供給量が少なくなるためです。

金融の世界では、各国中央銀行の金融政策決定に関わる幹部のうち、物価の安定を重視し金融​引き締め的な政策を支持する人のことをタカ派と呼びます。今回のFOMCはタカ派寄りのサプライズだったと言えますが、市場との対話は上手くできているように感じます。

金融の世界における前提条件は少しずつ変化しているところですが、中央銀行や政府が発信しているメッセージを見逃さずに上手く立ち回っていきたいですね。今後の政策の変化にも要注目です。


執筆者:渡邉亮

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