株式会社AWARDの渡邉です。
国際通貨基金(IMF)は2021年1月26日に改定した世界経済見通しで、2021年の成長率見通しを5.5%とし、前回予測から0.3ポイント引き上げました。
2020年の経済成長率についても修正が加わったため、どこが変わったのかチェックしてみましょう。
ここで言う経済成長率というのは、世界全体や各国で生み出される付加価値であるGDPの伸びのことになります。GDPが大きくなれば、より多くの付加価値が生み出される状態になっていることを示すため、経済が伸びていることを示します。
2020年は新型コロナウイルスの影響で大きくGDPは落ち込むことになりましたが、その数値もやや上方修正され2020年の経済成長率は、
世界全体:-3.5%(+0.9%)
米国:-3.4%(+0.9%)
中国:+2.3%(+0.4%)
日本:-5.1%(+0.2%)
とされています。カッコ内の数字は前回IMFが出した2020年10月の予測値からの修正幅を示しています。これを見ると米国の経済成長率が従来の予測よりもかなり良くなったことが分かります。
中国は元々世界でも数少ない2020年の経済成長率プラスをキープできた国でしたが、やはり上方修正されています。
次に2021年の経済成長率予測を見てみると、
世界全体:+5.5%(+0.3%)
米国:+5.1%(+2.0%)
中国:+8.1%(-0.1%)
日本:+3.1%(+0.8%)
となっています。世界は力強い経済の回復を示す1年となりそうですね。2019年を基準にすると、世界や米国は2021年に元の経済規模を回復、日本は少し遅れて2022年に元の経済規模を回復することになりそうです。
さて、経済が従来予測よりも強く回復するならば株価もさらに上がるのか?と考える方は多いでしょう。
もちろん経済が回復するのは株価にはとって良い影響があるのですが、株価というのは実際の景気を先取りして動く性質があります。すでに株価が上がっているのは今後の経済の回復を見越しているからであり、このIMFのデータを根拠に売買をするのは早計でしょう。
どちらかというと、今わかっていない金融緩和や財政出動が2021年、2022年にかけてどのように行われるかの方が株価には大きな影響があると考えられます。また、緩和頼みではいつまでもカンフル剤を打ち続けなければいけないので、企業がどれだけ業績を回復、伸長できるかが今後は重要になってくるでしょう。いずれにせよ新型コロナウイルスの影響から早く脱していきたいですね。
こちらのコラムは日々金融情報に触れて頂きたいという想いから継続して配信しています。あなたにとって大切な方にぜひご紹介ください。