株式会社AWARDの渡邉です。前回は国債の金利がマイナスになっている意味などを紹介させて頂きました。さて、金融機関が購入するときの国債はマイナス金利になってしまっていたり、かなり複雑な状況になっていますが、銀行で個人が購入できる国債は金利がプラスであったりします。それが『個人向け国債』です。
前回も触れたとおり国は税金による収入で国を運営していますが、収入が足りない分は『国債』を発行して賄っています。そして国債の返済は国が責任をもって行います。『個人向け国債』は国が発行する『国債』の一つで、銀行や証券会社等を通じて、一般個人が最低1万円から1万円単位で購入することができます。
さて、個人向け国債は普通の国債と何が異なるのでしょうか?通常の国債マーケットは機関投資家と呼ばれる保険会社、証券会社、銀行などが取引を行うところであり、最低の取引額も1億円単位と大きくなっています。しかも金利や価格も複雑な計算の上に成り立っており、日々変動しています。これに対して『個人向け国債』は、最低0.05%(税引前)の金利が年2回に分けて半年ごとにもらえます。そして発行後1年が経過すれば直前2回分の利子が手数料として差し引かれますが、いつでも中途解約で元本が戻ってきます。
銀行よりも信用が高いのは国になります。国債は国が保証している商品であるため、日本という国が破綻しない限り元本割れの心配なく資産運用ができるということになります。個人向け国債の商品ラインナップは3本で、変動10年・固定5年・固定3年です。
さて、なぜ個人向け国債はマイナス金利の国債が世の中に出回っているなか、最低金利が0.05%ついているのでしょうか。これは債券の利回りや価格決定が非常に複雑であり、多くの方が知らないところであるため、国がマイナス分をなしにして発行している国債ということになるからです。本来金融機関であればマイナス金利の国債を買わなければならないのに、個人であればプラス金利の国債を買えるというのは面白いですよね。
さて運用対象として考えると、最低金利0.05%と非常に低い金利の個人向け国債ですが、絶対に額面を減らしたくないという方にとっては良い商品かもしれません。特に十分な資産を持ったご年配の方向けの守りの商品ではないでしょうか。ただ、日本という国が今後も100%安全であるとは言い切ることは出来ません。銀行よりは高い信用を持つ国ですが、絶対というのはないことを知った上で利用して頂ければと思います。