株式会社AWARDの渡邉です。
貴金属というと皆さん何を思い浮かべるでしょうか?一般的には、金や銀のほか、プラチナ族の金属と言われるプラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類が貴金属として呼ばれることが多いようです。
その中でも特に代表的なものと言うと金とプラチナが挙げられるのではないでしょうか。本日は金とプラチナの需要構成の違いなどについてご紹介したいと思います。
金とプラチナはどちらも希少な金属ではありますが、その生産量には大きな差があります。2018年の世界の鉱山生産量で比較するとプラチナが金の18分の1しかないとのことです。つまり、プラチナの方が物質的には18倍も貴重な金属と言っても過言ではありません。
しかし、現在の金とプラチナの1gあたりの価格を見ると、金がプラチナの2倍以上となっています。より貴重な金属であるプラチナの方が安いというのは不思議に感じる方もいらっしゃるでしょう。一体なぜこのような状態になっているのかは、需要の面から説明することができます。
金とプラチナの需要構成は実はかなり異なります。どちらも一般的には宝飾品としてのイメージが強いと思いますが、この2つの貴金属の需要構成は大きく異なるのです。2018年の需要構成を見てみると以下のようになります。
【金の需要構成:3,980トン】
宝飾品:53.5%
工業用途:9.8%
中央銀行の購入:13.5%
個人投資:23.2%
【プラチナの需要構成:245トン】
自動車触媒:40.1%
宝飾品:27%
自動車以外の産業:28.9%
個人投資:4%
となっています。こうして見ると金は宝飾品と個人投資に80%近くが使われているのに対して、プラチナは30%程度です。
プラチナは金と比較すると圧倒的に工業用途での使用が多いのですね。特に自動車の排気ガスを浄化するための触媒と石油化学などの工業用途で多く使われているため、景気が後退してこれらの需要が小さくなると価格が下がる傾向があります。
ここ1年ほどを見てみると、金の価格は30%以上上昇していますが、プラチナの価格は15%ほどの上昇に留まっています。現在の価格上昇は新型コロナウイルスをきっかけとした金融緩和の影響が大きく、個人の投資用としての需要が旺盛になっていることが原因と考えられます。そんな中でも、プラチナは自動車業界や石油化学業界の需要の減少の影響も受けているため、価格上昇が抑えられていると見ることができそうです。
金の価格の優位はまだ続いていくかもしれませんね。
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