原油価格マイナスへ?
2020.4.22

株式会社AWARDです。

4月20日にニューヨーク市場で原油先物価格が史上初のマイナスをつけました。価格がマイナスというのはいったいどういう意味なのでしょうか。本日は原油価格マイナスの謎とその影響についてご紹介していきたいと思います。

原油先物とは?


原油先物の価格がマイナスになったことの意味を知るには、原油先物のことを知る必要があります。先物というのは、将来の価格を今決定する取引です。例えば原油というのは1バレル(≒159L)あたり、という単位で取引されるのですが、5月限の先物であれば5月に実際の引き渡しがされることになります。4月の頭に5月限の原油先物を1バレル=30ドルで買っていたとしたら、5月になったら1バレルの原油を受け取ることができるわけです。

原油などは価格の変動が激しいため、企業にとっては先に売買の値段を決めておかなければ安定した経営をするのが難しくなります。そのため、こうした先物などを使って先に決定した価格で取引ができるように準備をしておくわけです。

ただし、将来の価格を決定する先物ですが、それ自体の価格も日々動くため、先物を売買をすることで利益をあげようとする投資家や企業も存在します。それぞれの思惑がある中で原油先物の価格が決定されていくのです。

なぜ原油先物価格はマイナスになったか


さて、それではなぜ原油先物価格はマイナスになったのでしょうか。

その理由は原油を貯蔵する施設が一杯になりつつあるからです。米エネルギー情報局(EIA)によると、全米の原油の貯蔵能力は約6億5千万バレルとされています。これに対して4月2週の米原油在庫は5億バレル強まできており、直近の3週間で5千万バレルも増えたとのことです。

原油先物を買っていた場合、原油を受け取らなければなりません。先物価格がマイナスということは、先物の期日が来れば原油とともにマイナス分の現金が貰えますが、その原油の保管場所はない、という事態になり兼ねないわけです。貯蔵能力が限界を迎えている状態ですと、原油を受け取る場所にも困る上に、その原油をすぐに手放すこともできません。

原油は劣化しやすく維持費が高いため、多くの投資家がお金を無駄にしてでも古い油を手離したいと考えました。そのため、引き渡しの期日が近い原油先物の投げ売りが起き、原油価格はマイナスになったというわけです。

経済への影響は?


さて、現在原油先物は5月限から6月限の取引に切り替わり、価格は1バレル=13ドル前後になっています。6月はまだ原油の需要が回復していなく、在庫が積み上がっていく不安を抱えている状態が見越されている価格と言えそうです。ちなみに10月限の原油先物の価格は1バレルあたり26ドル前後になっているため、今年の後半には原油の需要は回復してくると考えている企業や投資家が多いようです。

しかし、もし原油の需要が低迷し、現在のような20ドルを切った価格が継続していくとすれば、原油関連の企業は大きなダメージを受けることになります。倒産も相次ぐでしょうし、世界中で紛争の種にもなりかねません。米国のシェールオイル企業は原油の価格が下がると採算が合わなくなるのは有名ですが、実は産油国として世界の一角を占めるロシアも生産コストはそこまで安くなく、現在の原油価格ですと採算は合わないと考えられます。

しばらくは新型コロナウイルスとともに原油価格が世界経済の大きな懸念事項になりそうです。

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