株式会社AWARDです。
水曜日のWBS(ワールドビジネスサテライト)をご覧になった方は、NISAの恒久化が見送りになったことを目にしたのではないでしょうか。この報道をどう感じたかは人それぞれだと思いますが、わたしはかなりの衝撃を受けました。
NISA恒久化見送りの理由
NISAは英国のISA(Individual Savings Account)の日本版ということで2014年から始まりました。少額投資非課税制度とも呼ばれ、年間120万円(当初は100万円でした)の投資に関して5年間は値上がり益が非課税になるという制度です。将来のための資金作りに有効活用できるということで、今年の6月末時点で1161万口座が日本国内で開かれています。日本人の人口の約10%がNISA口座を保有していることになりますね。
金融庁や証券業界からは2020年度の税制改正大綱に向けてNISAの恒久化に向けた要望を出していましたが、政府・与党は恒久化するのは難しいという判断をくだしたとのことです。
なぜ恒久化が見送られた?
なお、恒久化をしない理由として挙げられたのが、
・富裕層への優遇との指摘がある
・短期売買に使われている
という2点だったようです。わたしが特に衝撃を受けたのが、『富裕層への優遇との指摘がある』というこの理由でした。年間120万円を投資できる人を富裕層だと判断するほど、日本人はみんなで貧しくなろうとしているのか、と思ったのです。
確かに年間120万円を投資にまわせる人は決して多くはないでしょう。しかし、NISAの非課税期間は5年間。120万円×5年間=600万円が最大で非課税で投資できる枠になります。
600万円という金額は将来のために準備すべき金額として考えればほんの一部ですし、お子さんの学費などと比べても決して大きな額ではないでしょう。貯蓄から投資、ということを政府は長らく叫んでいたにも関わらず、NISAの恒久化を見送ったというのは流れに逆行しているとも感じました。
今後はつみたてNISAのみに?
ちなみに本場英国のISAでは、年間2万ポンド(約280万円)までの投資額を上限として非課税にて運用ができます。英国ではこの制度を活用して自分の将来のための資金は自分で作る、という考え方が浸透しているのです。ISAは制度としても2008年に恒久化されているため、将来に渡って安心して資産形成ができるようになっています。
ちなみに日本の政府・与党は年間の投資上限額40万円のつみたてNISAに関しては、期間の延長を議論しているようです。つみたてNISAは良い制度ではありますが、日本の未来を形作るための政策を決める政府自体が金融に疎く、十分な議論が行われていないようにも感じる報道でした。
自分の身は自分で守る、という意識を持たなければ、日本全体が貧乏になっていくのにわたしたちは巻き込まれてしまうのではないか。そんなことを強く思った報道でした。