株式会社AWARDです。
8月1日にトランプ大統領によって発表された対中関税の発動ですが、昨晩突如一部を延期することが米政府により発表されました。市場へ大きな影響があったため、その影響について見ていきましょう。
株価や為替が大きく変動
米国時間13日朝に発表された対中関税の一部延期は、株高とドル高円安をもたらしました。NYダウやS&P500といった米国の株式指数はたった1時間ほどの間に1.5%ほど上昇するといった激しい値動きを見せましたし、ドル円の為替は1ドル105円台からたった1時間の間に1ドル107円にせまろうかという変動がありました。
米中対立や景気への不安が和らいだことを示す変化ですが、1日に表明したばかりの措置を突然変更することに対して、政治的な混乱を警戒する向きもあるようです。世界一の経済大国である米国が簡単に政策を変更してしまうのでは、それをあてにした投資活動をするのは難しくなってしまいますよね。
米経済は悪化傾向か
株価は乱高下を繰り返していますが、企業の景況感は悪化傾向を続けています。米サプライマネジメント協会(ISM)の7月の製造業景況感指数は製造業、非製造業ともに約3年ぶりの低さとなっています。こちらは、300を超える製造業企業に対して「新規受注、生産、雇用、入荷状況、在庫」といった項目に関するアンケートを実施して、その回答結果から指数を算出するものです。企業が実感している景況感を知るという意味で信頼性の高い指標だとされています。
また、バンクオブアメリカ・メリルリンチが13日公表した調査では「1年以内に世界経済が後退に陥る」と予想する投資家が34%にのぼったとのことです。やはり多くの投資家が政治的な混乱、米中貿易戦争のリスクを警戒していることが見て取れます。
関税の延期は喜ばしいが
関税が延期されること自体は世界経済全体にとっては良いことですが、今回の発表は政治的な混乱を招くものでもあったため、投資家の心理に与える影響は必ずしもプラスのことばかりではなかったのではと思います。すぐに政策の方向性が変わる政治のもとでは、ビジネスも投資活動もしにくいのは想像に難くないでしょう。
最終的な米中の合意にまで至れば状況は落ち着くと思われますが、今のところそこに繋がりそうな有力な情報は出てきていません。引き続き市場では警戒感が続きそうです。