株式会社AWARDです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は老後の資金を作るのには、とても向いている制度です。月々お金を拠出して運用をしていき、60歳になってから一時金や年金として受け取ることができます。このiDeCoの加入に関して制度を一部変更する方向で厚生労働省が検討に入っているようです。
iDeCoの現状
確定拠出年金には企業が掛け金を拠出する企業型と、個人が自ら積み立てる個人型(iDeCo)の2つがあります。しかし、その普及の状況を見ると2019年3月末時点で、企業型は700万人、iDeCoは120万人とかなり差があります。老後の資金の不足が話題にはなっていますが、それに備えるために作られた確定拠出年金は、なかなか普及していないのが現状です。
現在、企業型の確定拠出年金を導入している企業の場合、労使の合意があれば社員がiDeCoを併用することができるようになっています。ただし、その場合は、企業の拠出金の上限額を引き下げるなど追加での手続きが必要であるという課題がありました。今回、厚生労働省では企業側の確定拠出年金の上限額を変更しなくても、社員がiDeCoを利用できるように制度変更を目指していくとのことです。2020年度の税制改正要望に盛り込み、2020年の通常国会に関連法の改正案提出をめざしていくと発表されています。
制度に教育が追い付くか
さて、こうしたiDeCoの拡充は多くの方にとって選択肢を広げる望ましいことかと思います。しかし、思うのは選択肢が広がったとしても利用者の理解が進まなければ、仕組みや制度は普及していかないのでは、ということです。今でも企業が確定拠出年金を導入していて労使の合意ができていない場合以外、すべての20~60歳の方はiDeCoに加入することが可能です。その状態でも120万人しか加入者がいないというのは、制度に対する理解が進んでいないために利用者が増えていない、というのが大きな原因なのではないでしょうか。
またiDeCoでは一度拠出してしまったお金は原則として60歳まで出すことができないお金になります。個人型確定拠出『年金』という趣旨からは、正しい形なのかもしれませんが、60歳まで資金が固定されてしまうというのは、多くのライフイベントを控える若い方にとっては、かなり使いにくかったり、リスクもある制度になってしまっています。
こうした資金の流動性が高まる制度変更があれば、より利用者にとっては使いやすい制度になるのではないでしょうか。現状iDeCoと比べると税制のメリットは小さいNISAの方が普及率が良いのは、この流動性が障壁になっているのではと考えています。
用意された制度を活用する
とはいえ、厚生労働省としてiDeCoがより使われるように制度の変更を目指しているのは事実です。現在ある制度の中から、わたしたちは最も自分にとって有利な制度を探して活用していくのが良いでしょう。NISA、iDeCoといった制度の使いこない方について相談したいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。