株式会社AWARDです。
投信業界に大きな変化が表れてきています。本日はなぜその変化に意味があるのか、そんなことについてご案内させていただきます。
10年以上の投信に評価が
昨日の日経新聞に載っていた記事に、運用期間10年以上の投信が2018年度は16年ぶりに資金流入に転じたことが記載されていました。流入額も過去最大となったとのことです。
これだけだと、特に意味がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。すこし深く考えてみると、10年以上運用期間がある投信への資金流入が16年ぶりにプラスになったということは、それまでは長期間運用されてきた投資信託からは資金が出ていくものだというのが常識だったということになります。
あなたでしたら、10年間以上運用実績がある商品と、10年未満の運用実績の商品であれば、同じ成績の場合どちらを選びますか?答えは分かれるかもしれませんが、10年以上運用実績がある商品の方が過去の実績があり安心して投資できるという方は多いかと思います。それでも、こうした長期間の実績がある商品から資金が流出し続けてきた、というのは証券業界の闇とも言える部分が反映されていたのです。
なぜ短期間で売買させるか?
投資信託を短い期間で売買させる、というのは証券業界の手数料重視の販売方針が反映されている部分でした。顧客に短期間で売買をしてもらうことで、その度に購入時手数料・販売手数料とよばれる手数料が証券会社に入ります。そのため、証券業界では短期間で顧客に投資信託を売買させて手数料を儲けるという手法が長らく使われてきたのです。
また新しい投資信託を開発して、それまで投資してもらっていた商品から乗り換えてもらう、ということも頻繁に行われていました。これはテーマ型投信(AI、5Gなど)の例などで今でも行われている事例をよく目にします。そのため、長期間運用されている商品からは資金がどんどん流出し、次々と出てくる新しい商品へのその資金が流れていくという傾向があったわけです。
長期投資が根付いてきた
こうした10年以上運用されているような安定している投資信託への資金流出が増えたということは、証券会社の販売手法がすこしずつ変わってきたというのもあるでしょうし、日本人の投資に対するリテラシーがすこしずつ向上してきているというのも挙げられるでしょう。またiDeCoやNISAといった長期投資を前提とする制度が推進されてきたのも、こうした動向には大きな影響を与えているのではと思います。
海外、特に米国では長期投資の考え方が根付いています。販売手数料が繰り返し取られることのない長期投資は複利の効果も最大限に発揮されますし、将来に資金をのこす優れた手法です。日本での業界がすこしずつ良い方向に変わっていることを示す明るいニュースについて取り上げさせていただきました。