株式会社AWARDです。
ソフトバンクグループが今月新たに社債を発行します。その額は過去最大に上る5,000億円。この社債は買いなのかどうかについて考えてみましょう。
機関投資家は買わない社債
今回のソフトバンク社債は、個人投資家への販売が主とされています。SBI証券のウェブサイトで仮条件を見てみると、
単位:100万円以上100万円単位
利率:年1.30~1.90%(税引前)
期間:約6年
発行体:ソフトバンクグループ
とされています。年利1.30~1.90%ということですので、銀行の低金利に見慣れてしまっている方からすると、高い金利のように感じられるかもしれません。実際のところ特にソフトバンクグループの経営に問題なければ、この利率が6年間もらえることになりますので割の良い6年の定期預金のような効果が得られます。
しかし、ソフトバンクグループは機関投資家からの資金調達が難しいがために、今回のような個人向けの社債を発行している一面があります。ソフトバンクグループの海外格付け会社による格付けは投資不適格となっており、機関投資家からの資金調達は限られている現状があるため、同社は個人からの資金調達を積極的に行っているのです。
調達した資金はなにに充てる?
では、今回の社債によって調達した資金はなにに充てるのでしょうか?新規事業や新たな事業買収などの資金として使うのかと思いきや、主に既発債の償還資金に充当するとのことです。ソフトバンクグループでは、5月に3000億円、9月に4000億円の社債の償還を迎えるため、それらの償還に今回調達した資金を充当するそうです。つまり社債の借り換えをする、というように考えれば良いかもしれません。ちなみに日本という国も毎年国債を発行していますが、その使い道としては過去の国債の償還や利子の支払いのために使われている部分が多くあります。今回のソフトバンク社債の事例ともよく似ていますよね。
年利1.30~1.90%が安定的に得られるのは決して悪い話ではありませんが、個人投資家は情報が限られている分だけ慎重な投資判断が求められます。昨年12月に行われたソフトバンクの上場もソフトバンクグループにとっては資金調達の一環でしたが、IPOに参加した個人投資家は今も含み損を抱えている方が多くいます。またソフトバンクグループに対する海外格付け会社S&P社の評価としては「有利子負債の負担は重く、投資ポートフォリオの推計価値に対する有利子負債の比率が世界の同業他社と比較してやや高い」となっています。
証券会社各社はソフトバンク社債の販売を引き受けているため、皆様のところにも営業の手紙や電話などがあるかもしれません。ただ金利が良い社債だからとして飛びつくのではなく、リスクも考慮した上で投資判断をすることをお勧めします。