株式会社AWARDです。
昨日3日の早朝7~8時の間に急激な円高が起こりました。この理由について考えてみたいと思います。
一時1ドル104円台に
3日の東京外国為替市場で、ドル円は乱高下の様相を呈しました。ニューヨーク市場の終値が108.88円だったのに対して、一時104.87円と昨年3月26日以来の値を付けました。これはたった数十分の間に3.7%もの円高が起きたというように言い換えることもできます。
この原因として言われているのが、iPhoneでお馴染みのアップルの売上見通し下方修正によるリスクオフムードの高まりです。アップル株は日本時間の4日0時の時点で昨日比-9%の価格で取引されています。一時期は世界で最も時価総額が大きな企業になっていたアップルですから、その市場に与えるインパクトは絶大です。この一年で最も株価が高い2018年10月頃には1株233.47ドルをつけていましたが、現在は1株143.30ドルほどになっています。たった3ヶ月ほどで40%近い下落をしていることになります。
有事の円買いはなぜ起こる?
とはいえ、アップルの株価が下がると円高が起こるというのは関連性がわかりにくいかと思います。こういった現象が起きることを『有事の円買い』などと言いますが、なぜリスクオフムードになったときや有事が起きたときには円が買われるのでしょうか?いくつか理由を挙げると、
・円キャリートレードの巻き戻しが起きる
・日本はインフレ率が低く通貨の価値が下落しにくい
・日本は対外純資産が多い
・日本は経常収支が黒字である
といった形になります。『現段階では』比較的世界の通貨の中でも安全だと考えられているのが日本円という通貨と言えるかもしれませんね。
市場参加者が少ないのも要因
ただし、年末年始はそもそも株式や為替のマーケットに参加者が少ないため、大きなドル売り円買いが入った際に、相対する取引をする方が不足して極端に円高が進んだというのもあります。実際に現在はドル円の為替は107円台まで値を戻しています。市場というのは普段は買い手も売り手もたくさん存在しており、流動性が高いのでそこまで極端な値動きを起こしにくいのです。今回の数十分で3%以上の値動きというのは、大統領選や大きな災害などと同じくらいのインパクトでしたが、心配しすぎることはないのではと思います。
ただし、アップルが売上見通し下方修正したということは、他の企業も同じように減収減益が進む可能性があります。すると現在の株式の価格は全体に割高かもしれない、という考え方も市場に広がりますから注視が必要な局面であるのは間違いないでしょう。