株式会社AWARDです。
昨日ソフトバンクグループ傘下の携帯電話事業会社ソフトバンクが、東京証券取引所第1部に株式上場を果たしました。上場前からIPOのCMを打つなど、過去最大規模のIPOとして大いに話題になっていた本件でしたが、結果はどうだったのでしょうか。
初値は公募価格割れ
ソフトバンクの上場初日の初値は1463円と、公開価格である1500円を2.5%下回るスタートとなりました。過去多くの大型のIPOは公開価格を上回るスタートを切ってきましたが、ソフトバンクの場合はそうはいかなかったことになります。過去に本コラムでもいくつか記事を取り上げていましたが、-10%~+10%程度の範囲に収まるのではという予想の範疇には収まったことになります。
IPO時の初値は上場前に購入できなかった投資家が買いたいと思うことで高い値がつく仕組みになっています。今回の場合はあまりにも吸収金額が大きく、事前に欲しいと思えば多くの投資家が希望の本数を手に入れることができたため、買い圧力がかからなかったと言えます。また、ソフトバンクの上場にあたってはかなりの逆風が吹いていたことも、こうした結果に繋がる要因となりました。
ソフトバンクの逆風
挙げられる逆風としては、
・12月初旬の大規模通信障害
・政府による行政指導
・ライバル会社の通信料値下げ発表
・中国製機器の政府による排除方針
・PayPayの不正使用問題
と大きなものだけでも、これだけ挙げられます。それぞれが今後の業績を下げ得る要因になるでしょう。こうしたことも考慮された上で、上場後の初日の終値は1282円(公開価格比14.5%減)という結果になっています。
孫正義氏の経営判断
さて、IPOに参加した多くの個人投資家は資金を減らす結果になったわけですが、今回の一連の上場において光るのが、孫正義氏の経営判断ということになるかと思います。携帯電話事業会社のソフトバンクの上場にあたり、親会社であるソフトバンクグループ自体は約2.6兆円にも及ぶ巨額の資金を市場から調達したことになります。初日に15%近く値下がりしたわけですから、仮に公開価格がこちらの方が適正であったとするならば、調達できた額は3,000億円以上減ってしまったことになるわけです。携帯電話事業を取り巻く今後の厳しい情勢を踏まえた上で、ソフトバンクグループ全体としては最適なタイミングで資金調達を成功させたと言えるのかもしれません。
個人的には今回の上場にあたり調達した資金を、ソフトバンクグループがどういったところに投資をしていくのかがとても気になります。孫正義氏のことですから、グループ全体としてはまた驚くべき動きがあるのではないでしょうか。