株式会社AWARDです。
最近は金の価格が低迷しているようです。世界中で安全資産として認識されている金ですが、なぜ価格がパッとしないのでしょうか。本日はその原因について考えてみましょう。
1トロイオンス1200ドル前後
金の国際的な取引はトロイオンスという単位が使われており、1トロイオンスは31.1035gのことになります。2018年になって一時期は1トロイオンス=1350ドル前後をつけていましたが、現在は1トロイオンス=1200ドル前後に落ち着いています。2011年頃には1トロイオンス=1900ドル前後まで高騰していた時期もありましたから、そこから比べるとずいぶん値段が下がっているように見えます。
金は古代から価値がある金属として扱われてきましたが、近年になってからも手元にモノがある現物資産として人気を集めてきました。2000年頃には1トロイオンス=300ドルを切っていましたから、そこから比べると現在の価格でも4倍近くになっていることになります。
米ドルと強く相関
そんな金の価格の重しとなっているのが、ドル高の進行です。米国では2015年から政策金利をすこしずつ上げてきており、それに伴いドル高が進行しつつあります。また直近では10年物の米国債の金利は3.2%ほどに上昇してきています。このようなドル高の進行と米ドルの金利の上昇が金の価格にとってはマイナスに働くことが多いのです。
なぜならば近年の金の需要を生み出してきたのは中国・インドといった新興国が主役だったからです。米ドル高の進行によりこれらの国の通貨の価値は下がり、金が買いにくい環境になりました。そのため金の需要自体が減ってしまったのです。また金はモノであるがゆえに金利がつきません。米国債の金利などが上昇してきたことで、金よりも金利がつく資産の方が好まれるようになっていったのも金の需要を押し下げている要因となっています。
有事の金
ただし、金は世界に経済危機などが起きた際にはまた輝くを増すと考えられます。実際のところ過去に金の価格が大幅に上昇したタイミングではITバブルの崩壊やリーマン・ショックといった世界に影響を与える経済イベントが起きています。株を始めとして多くの資産が下落するタイミングでこそ価値を増す資産ですから、今のうちに少し持っておくのも良いかもしれません。
とはいえ金利がつかない金を保有しているというのは、投資好きな人にとっては物足りなく感じるかもしれません。ポートフォリオに多様性を持たせるという意味で、資産の一部で持つという感覚で十分なのではないでしょうか。