株式会社AWARDです。
以前にも取り上げた中国の画期的な医療保障サービス(医療保険)であるアリババの「相互宝」。本日はこちらの続報についてご紹介させていただきます。
相互宝とは?
相互宝とは、中国最大のIT企業であるアリババが仕掛ける後払い式の医療保険です。保障されるのはがん+重大疾病で、罹患すると生後30日~39歳までは30万元が、40~59歳までは10万元が支払われます。1元は現在16円ほどですから、160~480万円ほどが一度に支払われるということですね。
この医療保険のすごいところは、保険金支給の可否や後払いの料金のシステムがすべて透明化されているところです。実際に保険金の申請をすると、加入者から支給される条件に当てはまるかがチェックされます。そして、支給の要件を満たすことになれば、加入者全体でそのコストを負担するのとともに、アリババが一定割合の管理費を徴収するという仕組みになっています。本当に支給があった場合に、加入者全体が負担する金額が決まるため、非常に透明性が高いサービスとなります。
爆発的に増える加入者
このサービスの加入受付が始まったのは、2018年10月16日のことでした。まだ半年とすこししか経っていませんが、加入者数は2019年5月8日時点で5,784万人に達したとのことです。ちなみに現在までに給付が行われた件数は36件だそうです。そして加入者が負担する金額は、給付1件あたりで0.1元(1.6円)となっているとのことです。つまり加入者の目線になると、自分自身ががんや重大疾病になったら160~480万円がもらえる保障にもかかわらず、60円ほどの負担で今のところ加入ができていることになります。
アリババのグループ会社によると、2年後の2021年までに相互宝の加入者数を3億人にするという目標があります。これは中国の国民全体の2割にあたります。現在中国の民間生保最大手の平安保険グループの契約者数は1億8,000万人(2018年末)ですから、一気にその数を抜き去ることを目論んでいるようです。
情報公開と透明化
生命保険の業界は、手数料構造や、実際に支給された金額などが、加入者からは見えない場合が多かったかと思います。そこに大きな一石を投じたのが、今回ご紹介したアリババの医療保障サービスです。ちなみにアリババは高齢者向けのがんの保障サービスも新たに始め、そちらも評判になっているようです。
ITの力で金融を大きく変えるという意味では、この医療保障サービスはフィンテックとしても非常に意義のあるものだと思います。他の国でも同様なサービスが広がっていくと、金融業界の地図は一変していくのではないでしょうか。