節税保険が販売休止へ?

保険

株式会社AWARDです。

身近にある商品の中で、特に税制的に優遇されているものを2つ挙げるとするならば、不動産と保険になります。この2つは多くの方が所有していることもあり、関連する様々な税制優遇が用意されています。そんな中、経営者向けの保険に対して国税庁が税務の取り扱いを見直す案を示したそうです。

節税保険とは?


経営者向けの保険の中でも、今回税務の取り扱いが見直されることになりそうなのはある種の定期保険です。主に中小企業経営者の死亡に備えて企業が加入する仕組みになっており、支払った保険料が全額損金、つまり経費扱いすることができるのが特徴です。経費になるということは、その分だけ法人の利益を圧縮することができ、法人税を減らすことが可能になります。

そしてこの保険の特徴は全額経費になるにも関わらず、10年程度で解約すると払った保険料に近い解約返戻金が戻ってくるということです。戻ってくる解約返戻金はまた利益になってしまうのですが、そのタイミングを役員の退職などと合わせると課税を回避することも可能になります。保険料は個々の事例によって変わりますが、年間100~200万円程度のものが多いそうです。

節税重視の販売も問題に


こうした保険に対して金融庁は2018年6月から実態調査を進めてきたとのこと。保険商品に対する認可を出したのは金融庁なわけですが、節税のメリットが過剰に強調されて売られており、保険の趣旨を逸脱していることを問題視したようです。

今回の見直しで国税庁からは、法人向け定期商品のうちピーク時の解約返戻率が50%を超える商品について、保険料を全額経費として計上することをできなくする、という案が示されているそうです。この案を受け、日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険といった大手生保4社は該当商品を販売休止する方針を固めています。

環境や商品は変わっていく


今回対象となったのは経営者向けの保険でしたが、今後の国の財政状況を考えると今まであった税金の優遇がなくなっていく、といったことは様々な場面ででてくるのではないか、と思います。また金融商品もすこしずつ変遷していきますので、前まで加入できた良い商品にすでに加入できない、といったこともしばしば起こります。

良い商品にめぐり合うことことができたのであれば、自身の状況を勘案して早めに加入してしまうのが良いかもしれませんね。今回は猶予期間はほぼなく、該当商品の販売は休止されることになりそうです。環境の変化は突然やってくることの良い例かと思います。


執筆者:渡邉亮

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