どうなる日本郵政株
2017.9.20

株式会社AWARDです。

9月末に政府の持っている日本郵政株の公募売り出しが行われます。証券口座を持っていて担当者がついている方は、日本郵政株の購入をお勧めされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本日は今回の公募売り出しの本質を見極めていきたいと思います。

売却益はどこへ?


日本郵政株はもともと日本政府が100%保有していました。これが郵政民営化法に則り、子会社の『ゆうちょ銀行』と『かんぽ生命』とともに株式市場へと上場したのは記憶に新しいことかと思います。この時に政府が持っている株式も一部売却が行われたため、現在の政府の保有比率は80%程度まで下がっています。

政府保有の郵政株が売られると、政府には株式の売却益が入ります。今回の公募売り出しではこの売却益が東日本大震災の復興財源の一部として使われることになっており、その額は実に1兆4000億円ほどにも上ります。この金額が市場から政府へと吸収されることになります。

狙われる個人投資家


今回の公募売り出しでは、個人投資家に全体の76%の株式が割り当てられることになっています。この比率は過去の公募売り出しの例と比較するとかなり高い設定です。

ではなぜ個人投資家への割り当て比率がこれほど高いのでしょうか。それは日本郵政株が、機関投資家と呼ばれる証券会社、保険会社、銀行が積極的に購入するほどの魅力に乏しい、というのが一つの理由として挙げられます。

これほど大量の株式を市場に放出してしまうと、株価はかなり下がることも考えられます。長期的に日本郵政の成長に期待できると判断した場合でなくては、大量に購入するのは厳しいと言わざるを得ないでしょう。また個人向けの株式を引き受ける野村証券、大和証券、ゴールドマン・サックス等の引受証券全61社は、約93億円の手数料が支払われる見込みです。機関投資家は、株式の値上がり益でなく個人投資家から得られる手数料で利益が上がるわけです。

日本郵政株の本質


日本郵政は単体の会社としてはほとんど利益を得る事ができていない会社です。日本郵政グループの連結経常利益7952億円(2017年3月期)の約56%、半数以上の4420億円を稼ぎ出すのは子会社であるゆうちょ銀行です。そして、ゆうちょ銀行は経常収益の約93%に相当する1兆7650億円を「資金運用収益」をはじめとした株式や債券への投資で得ています。

つまり日本郵政の公募売り出しの株式を購入するのは、ゆうちょ銀行が運用する株式の運用益へ期待するのに等しいと言っても過言ではないのではないでしょうか。しかも郵政民営化法では「政府が保有する日本郵政株は1/3超まで早期に売却し、日本郵政が保有する金融2社の株式は全株式を早期処分する」ことが謳われています。仮に日本郵政の利益の源泉となっている『ゆうちょ銀行』『かんぽ生命』の株式が今後完全に市場に売却された場合、日本郵政株自体の株は相当下がるのは間違いないでしょう。

機関投資家が購入しない株式を、個人投資家向けに何とか売り抜けようという意図が見える今回の公募売り出し。投資対象はしっかりと情報を得てから選びたいものです。

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